象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

秋の声。

秋の虫の声を聞いたような気がするけれど勘違いかもしれない。あるいはただの耳鳴りをそんなセンチメンタルなモノと聞き間違えたのかも。古本屋のおっさんは、今日はなんだか、なにをやっても悲しい気分です。清志郎の、甲州街道はもう秋なのさ、の歌詞をブログに書き写して、これはあきまへんな、お客さんが遠ざかる、と思いなおして、消す。新しい急須を出して、フルカワにお茶を入れてあげたのはほんの数時間前のこと。あれはあれでなんとか生きているのだと、大儀そうに、前歯の欠けた口で茶をすすりながら、自分の都合をぼそぼそしゃべるおっさんの姿を思い浮かべても、今日はただ物悲しいだけである。そういえば、蚊の声も、心なしか元気がないな。秋に向かってこの夜道をとぼとぼと歩いてゆくと、なにかとんでもなくくらーいモノに出合いそうな、疲れてベットに身を投げ出すようにそいつに身を預けてしまいそうな、それでもまあまあ悪い夢も見ずに眠れるような、では、おやすみ。ではおやすみ。
古本屋の日記 2011年8月22日