象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

古本鬼

1000日の禁を破った僕は、もう、昔の僕ではないのだ。空に届かんとするあの飛翔の翅は、焦げ臭い匂いの失墜へと、梅毒病みの、フランスの詩人の描いた信天翁よろしく、無惨な姿をさらしている。なんて嘘。もう、飽きた。だって、ぜんぜん買取の話なんてこないもん。ホームページを作って、毎日一生懸命ブログを書いていればよいことがあるよとドクターは云った、けれど、何にもないもんね、阿呆みたいに、信心深いばあさんみたいに、いっせんにちいっせんにちとお題目を唱えていても何にもないんだよと、今度は天の声が云った、だから、ではなく、僕は、あえて、信心深い己の心を裏切って、戦うための、鬼の心を手に入れたのだ。今日からは、良い古本との出会いを求める修行者ではなく、一人の、満ち足りぬ修羅、絶望的な渇きに苦しむ鬼の古本屋となって、夢幻の荒野を、古本買取大阪大阪と、彷徨い続けるのだ。

古本屋の日記 2011年5月24日