象々の素敵な日記 古本屋の日記

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古書象々の本買う理由─その1『ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方』

私が「講談社現代新書 今を生きる思想 ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方 箱田徹著」を買ったのは「狂気の歴史」や「知の考古学」「監獄の誕生」やなんかについてとりあえず入門的にでも学びたいとか、この本をさりげなく地下鉄の中で読んでインテリぶりたいとか、あるいは副題に惹かれて真剣に権力の言いなりになんかなるもんかなどと思ったからではなく、大胆にも表紙の5分の4ほどを覆う、ほぼ表紙とみなしてもよいと思われる帯のその意匠、ミシェル・フーコーを右斜め前そのやや下方から写した美しいポートレート、特に、そのつるんとした頭部に惹かれたからです。

私は、ごく個人的な理由によって、以前から、スキンヘッドについて研究しているのです。街々で、インターネット空間で、雑誌や写真集で、スキンヘッドの人間を見つけるとしばらくじっと見つめて、その良し悪し、その理由を考えてみるのです。(街では、これは多くの危険を伴う行為ですが、私の真摯な眼差しのおかげか、あるいはまあなんか親近感からか、今のところ殴られたことはありません)。

ですから、某大型書店で面陳されているこの本を見かけた時、ほぼ条件反射的に手に取って、帯の中からじっと私の右側の、どこか向こうの空間を見つめているミシェル・フーコーの、強い意志を秘めた眼差し、知的な銀メガネ、雄々しい鼻筋、なにか私には理解の及ばない重大な言葉を秘めつつきつく閉じられた唇、それらすべてを美しく統合する、頭蓋の、やや歪んだ球状のフォルム、そうだ、ミシェル・フーコーは、最も知的で最も美しいスキンヘッダーである、もし頭髪があったなら、髪の毛などという俗物があったなら、ミシェル・フーコは、ミシェル・フーコーたりえなかっただろう。このような、スキンヘッドによる美しい知の統合は生まれなかったであろう……。

と、ここまで書いて、さすがに私もこれは無理があるなあと思うわけです。うねうねと、どこにも辿り着かない文章。阿保やなあと、思うわけです。ただ私がこの本を買ったのは、本当にミシェル・フーコーのポートレイトに惹かれたからで、この文章を書いてみたのは、あまり勉強しない、買って売るだけの古本屋でも、時には、ちょっとかっこつけて、ミシェル・フーコーについて語ってみたい、読んだことないけど語れるかも、そうだ、私だってミシェル・フーコーについて語れるさ、なんて、少し思ったからなのです。はい。

 

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古書象々の本買う理由─その1『ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方』
古本屋の日記 2023年3月29日