象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

恋する古本屋

『「わたしは恋をしているのだろうかーー然り、こうして待っているのだから。」相手の方はけっして待つことがない。自分も待つことのない者として振舞ってみようと思うことは多い。別のところで忙しくて、遅れてゆこうと努めてもみる。しかし、この勝負はいつもわたしの負けに終わる。なにをどう努めてみても、結局のところわたしは暇なのであり、時間に正確で、早めに来てしまっている。「わたしは待つものである。」これが、恋する者の宿命的自己証明なのだ。』(ロラン・バルト 恋愛のディスクール・断章 三好郁朗訳 みすず書房)

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買取を待つのも、彼(彼女)を待つのも、同じ、恋なのでしょうかね?いつもぼんやり座って、時には忙しい素振りをして、古本屋は買取の依頼がくるのを待っています。時計は、待っている間、止まっているかのように感じられるのですが、それでも、少しずつ、やっぱり人生の歯車はまわっていて、そうして、やがて、老いた、恋に破れた古本屋が、街の片隅に取り残されます。黒い電話が異様な音をたてて、鳴る。長い間、待ち続けていた買取、いや、恋人だろうか?何を待っていたのかさえわからない。もう待ち過ぎて、待つ以外の人生を考えられなくなってしまって、受話器を、あげることができない。

 

 

素晴らしい、恋、の本、買取いたします。古書象々にご相談ください。

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古本屋の日記 2011年5月20日