象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

本屋で一日引きこもる。

朝起きてすぐの`老眼鏡を巡る激しい争い`のせいで、家にも事務所にもいられなくなったので仕方なく本町、北浜、中之島と見慣れたビルビルを再確認するようにぶらぶらと歩きまわり結局この寒波の街にどこにも居る場所が見つからないので堂島あたりの大型書店にもぐりこむ。

そんで。

堂垣先生の例の本のがちゃんと日本文学の棚に並んでいるか確認してみたり、加藤典洋の「村上春樹は、むずかしい」を、無料でほとんど読了してみたり、中村文則の「掏摸」を手にとって読んでみようかとパラパラとページをめくって結局読まなかったり、世界の名建築をピカピカの写真で巡ってみたり膨大な量の本の背表紙をだだだだだーと眺めて世界の文学を一望のもとに、してみようとしてみたり、本をひろげているいろんな人の顔とタイトルを交互に見てその人の心の奥底を探ってみたり、そんでそんなことをしているうちに何かを思い出しそうになり結局思い出せなかったり……そうこうしているうちに、夕方。

こんなに居心地よく過ごさせてもらってお金も払わずに帰るのはなんだか悪いような気がするので何か一冊。メーリニコフの六角形の窓がいっぱい穿たれた円筒形の自邸が紹介されている本か大貫隆のグノーシスの本か「村上春樹は、むすかしい」かで迷ったあげくに、グノーシス。

 

`はじめに`の、プルタルコスの言葉に惹かれたので。

人間は誰かに憎しみを抱いていることは端的に告白するが、誰かに妬みを抱いていることは、いろいろ言い訳をして、認めようとしないものである。

(大貫隆 グノーシス「妬み」の政治学)

 

村上春樹…は、面白かったですが、もう少し村上春樹を読んでから購入いたします。必ず、同店で。ありがとうございました。

 

 

古本屋の日記 2016年1月24日