象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

ゲジ公の死。

百足のゲジ公は、玄関の薄明かりの中で死んでいた。どぎつい橙色はくすんで黒くなり、ふうと吹けば飛んでしまいそうな軽い感じで、沢山の足を縮めてザムザ君のように転がっていた。なんだ、随分愛想なしじゃないか、黙っていってしまうなんて、と声をかけても知らんぷり。もともと、仲良しではなかったのだからあたりまえか。俺が殺したわけではないからねと何故か言い訳して、紙に包んで捨てる。
古本屋の日記 2011年7月29日