象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

のっぺりさん。

のっぺりさんが別ののっぺりさんに出会った。

どこか……あるいは、日本、とか、世界、とかの、どこかで。

のっぺりさんは別ののっぺりさんに出会っても別に何も思わなかった。

別ののっぺりさんはのっぺりさんに出会っても別に何も思わなかった。

どちらものっぺりとしていて何かを思うほどの凹凸がなかったから。

『こんにちは』

のっぺりさんは云った。

『こんにちは』

別ののっぺりさんは云った。

『さようなら』

のっぺりさんは云った。

『さようなら』

別ののっぺりさんは云った。

離れていきながらのっぺりさんはことばを交わすこともなかったなと考えた。

離れていきながら別ののっぺりさんはことばを交わすこともなかったなと考えた。

のっぺりとしてなにともとらえようのないあののっぺりさんはわたしだから。

振り向いてみたら

そこにはのっぺりさんも別ののっぺりさんもいなかった。

 

 

などと言葉遊びしながら、

ミースアアルトルイス・カーン

 

 

 

 

 

 

 

古本屋の日記 2015年2月28日