いつも通りベッドに横たわっていてふと気づいた生きる事についての非常に重大な発見は、よくよく考えてみるともうずいぶんと前に気づいた重大な発見でした。確かその時もこの気づきはずいぶん前の気づきであると気づいたはずだと今も気づき、一歩も前進しない自分に苦笑いたしました。繰り返し、忘れた頃にまた気づく訳ですから、そのことはやはり正しいと思われる訳ですが、今またわたしは、気づいたそばからそれを忘れつつあるようなのです……。
ふと思い立って転がっている本の中から……。
「確かなことがもうなにも分からなくなったときにこそ」と女は続ける。「確かさへの道を順調に進んでいるのよ」
マンディアルグ「すべては消えゆく」中条省平訳。。