象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

ひとり、山王の信号を渡る。

家に引きこもり続けると云う平和な日常(家だと、他人様に暴言はいたりしないからね)を捨て去るかのように、わたしの気持ちに反して、身体が勝手に動き出した昨日の午後五時、三十五分、くらい。どこへ行こうか。そりゃ、誰も気づかんような、侘しい酒場や。

松屋町筋の他人行儀な店には入らずに黒門裏もするっと知らん顔、日本橋の電気街をひょろひょろと恵比須町、新世界へとチャリを走らせる。そんで通天閣の下をしゃーっとかっこ良く通り抜けジャンジャン横町でまあ一杯、かと思うでしょ。ちゃいます。まだここは明るい。あかん。ジャンジャンのガードくぐる時知り合いの顔を見つけたけど声かけそびれしばらく立ち止まって見送る。さて、別に飛田へ行くわけではないけれど、山王の信号をひとり南の方へと渡って、急に辺りが暗くなって、ようやく、心が落ち着く。そや。ここやがな。とはいうものの、カラオケの五月蝿いスタンドは避け、西岸良平の漫画に出て来そうなおばさんの非常に細長ーいお店の暖簾をくぐる。音楽は壁面を埋め尽くしたカセットテープからチョイス。それを、どこから持って来たのかカーステレオ、まさにそれ、略してカーステというやつににガシャッと差し込んで、ちあきなおみの喝采が2番の途中から流れ出す。

〜メンバー紹介〜

ドヤの部屋について話しているおやじが数人。

わし。

客演、奇声を発しながら店になだれ込んで来て、案外逞しいおばさんに追い出されたおっちゃん。

 

〜セットリスト〜

アサヒスーパードライ大瓶一本。

黒霧のお湯割りジャンボグラスに6:4の割合 5杯

おでんの豆腐(非常に、おいしくない)

唯一真っ白でま新しい紙にボールペンででかでかと書かれていた、かす汁。

 

それで、なにか、心にしみる事があったように書こうかと思ったけど、そらぁ、ない。ただおばちゃんの顔を見ながら、黙々と、飲む。おやじも生きる。奇声のおっちゃんは自転車蹴飛ばす。おばちゃんも、酒つぎながら死ぬまでずっと生きる。明日の事は誰にも判らんとフルカワは云うけど、だいたい、わかる。だいたい、黒霧やて、上等飲み過ぎや。

古本屋の日記 2012年3月3日