象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

本棚に関する古い記憶

本棚越しの人に世界の意味を問うたS君は、問うたまま、その後一年と数ヶ月酒を飲み続け、答えも聞かずに故郷へ帰ってしまった。本棚に囲まれて暮らす男は、答える必要がなくなったのでまた読みかけの書物に目を落とした。「書かれる、言葉は、自ら世界そのものであろうと欲望するが、結局は、どうにも収拾のつかない、無惨な、姿を、さらすだけで、どうにも、いたたまれない。だから、表紙と、裏表紙を、つけて、ちょっと背中も見栄えをよくして、一応始まり、一応終わり、なんとか、体裁を、繕う、それが、本ってやつだ。ほんとうだよ。書き損じの、世界を、いくら集めても、やっぱりそれは、所詮、世界そのものにはなりはしないし、なにも、知ることは出来ない。書き損じの塔。それが僕の本棚だ。また、一緒に、酒を呑もう。アルバイトをして、いつもよりちょっといい店に、呑みに行こう」

 

 

昔読んだ、結局はよく理解できなかった、哲学書、思想書、宗教書〜

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古本屋の日記 2011年5月17日