象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

象々の、素敵な、別室。〜開店いたしました。

さあもう冬がそこまで来ているぞーー空の色がそんなふうに見える日の夕暮れ時、遠い町からいろんなおもちゃが一杯つまった素敵な箱が届いたのです。配達夫は、あるいは人ではなかったかもしれません。もう暗くなりかけていたし、少し寒かったので、あまりはっきりとは見なかったのですが、伝票をめくる手が、何だかとても黒くて毛深かったような気がするのです。まあ、わたしも象ですから、そんなことは気にも留めませんがね。ほんとうなら、わたしは、世界の果てのさびしい道端で、この遠い町から届いた荷物をほどいて、遠い昔の、遠い人の、思いのこもった遺品です、なんていってのんびり商いしたいところですが、いまは、忙しいので、そんな遠くまで旅してゆくことができません。ですから、かわりに、パソコンの女の子にたのんで、どこか遠くにいる人に見てもらえるように、トンカンと、「素敵な、別室。」を、こさえてもらったのです。どんなものが、あるのか、まだ、わたしも、まだ、はっきりとは見ていないのです。少しずつ箱から出して、これから、皆さんにお見せするつもりです。遠くの町から届いて、遠くの町に送り届けることができればいいのですが……?「象々の、素敵な、別室。」開店致しました。

古本屋の日記 2011年11月13日