象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

父と母と、お寿司を食べる。

母は寿司屋で息子の服装が汚い事を叱る。切ったと云う髪の毛がぼさぼさだと云って叱る。あいかわらず貧乏そうだと云って叱る。小さい時はかわいかったのに、大きなため息をついて今日は髭をきちんと剃っていると云って褒める。煙草をほんとうにやめたかどうかくさいくさいといって確認して、本当にやめたといったら偉いと褒める。ビールばかり飲んでいるのを叱りそうなものだが、それは少しも叱らずにもっと食べろと云って叱る。母は息子が古本屋なので叱る。昨日尺八を買ったと云ったら叱るだろうなと思いながら古本が悪いわけではないというと古本で上手く儲けないあんたは悪いと云って叱る。母は中学の時の三者懇談のことで叱る。僕の頭が悪かったことを嘆いて、最後は中学の先生を叱る。母は僕の20年を叱る。東京へゆくのを見送りにいったと云って叱る。母は僕の20年より前を褒める。ほんとうに、気持ちは優しい人間なのだと褒めるが、ええとこないなあといって叱る。母は爪に灯を点すように生きろと云って叱る。父は僕が頼んださよりがうまいといってもう一つ食べる。
古本屋の日記 2011年10月18日