象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

溶ける記憶

確か、アンドレ・ブルトンの「溶ける魚」の中に「〜雨だけが崇高である〜」とかなんとかいう言葉があったような気がするのだが、記憶が定かではない。春から夏にかけての、今日のような雨模様の天気の日には、この言葉が魔術的な響きをもって記憶の底から浮かんでくるのだが、はたしてそれが本当にブルトンの言葉であったのかどうかはっきりと確信を持つことが出来ない。古本屋は本を売るのが商売だから、頼まれればついつい自分の蔵書でも売ってしまう、そして、何かの拍子にふと調べたくなっても、その本が手元になくイライラする。魔術的な響きだと思うからブルトンなのか?もしかして他の記憶と入り交じって全く別の言葉だったような気もするし、他の詩人の言葉かもしれない。或は勝手に自分で作ったのかも。だとしたらなかなかのポエットじゃないかと自惚れたりするのだけれど、それは、はっきりと、定かでない記憶に否定される。今日、新刊書店の前を通った時に岩波文庫の「シュルレアリスム宣言」を買おうかと一瞬思ったけれど、やっぱりやめた。しばらくは気になったまま、またその本と出会う日を待つのも、古本屋の人生の楽しみの一つである。

 

 

 

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古本屋の日記 2011年5月1日