象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

小銭でお酒を。

「桜宮のホテル街はだんだん廃れていってんねんで。もう、あっこらへんもあかんなあ」

(飲み屋で小耳に挟んだ言葉)

 

ポケットがちょっと膨らむと、ふらりとどこかへ出掛けたくなる。といっても、別に旅に出るわけではない。夕方、自転車に乗って、まだ入ったことのない安飲み屋に入るのが、僕の唯一と云っていい趣味なのです。今日は某所某通り、汚くもなく奇麗でもなく、築二十年のちょっと郊外にありそうな建売り住宅のような飲み屋。看板が出ていなければそこがお店かどうかもわかりにくい、新しい建材で建てられ、通販かなんかでテーブルや椅子を買い揃えたような適当酒場。まだ暑さも残るというのに、路上に湯豆腐の看板がでているのでチャリを止めました。扉を開けると、何やら熱心にカウンターで話し込んでいる常連二人と、眼鏡姿も凛々しい五十五六歳のお姉さんが驚いたように顔をあげる。初めて入る店では、これはいつものこと。一人なので、狭いカウンターに座ろうかという素振りを見せると、何となく気まずいのかお姉さんではなくお客のおじさんにテーブル席を勧められる。なあママ、一人やけどええやんな。

 

まずは生。そして路上のメニューにあった湯豆腐。店には無関心な風で、「「幻の傑作ミステリー 怪奇探偵小説 鮎川哲也篇」を読み始める。お姉さんがジョッキを持ってくる。ここ数日ビールを飲まないので、久々にぐいっとやる、んだけれども、どうも、少し、味が違う。ジョッキを光に透かしてみて、もういちどグビリ。やはり、なにかが違う。安い生は発泡酒のこともよくあるけれど、それも、違う。これは、と、よーく考えてみる。これは、僕は嫌いだからあまりというか絶対呑まないけれど、どうも、第三のビールではないか?ふん。そうだ。泡立ちもこんなに悪いし、ビールが何で出来ているか知らないが、ちっともビールの味がしない。酔えば何でもいいという僕でも、そのくらいは判る。といって、怒るわけではありません。なるほど。うまく、儲けるな、と感心する。生は利幅は大きいけれど、客が来なければそのうちダメになる。瓶は、儲けが薄い。第三のビールを生で出すと、瓶の日持ちで生の利幅がとれる。名案である。僕としては、どんな酒でもお店の人が儲かって、僕が楽しく酔えればいいのだから、何の生かなんて、どうでもいいのである。どうせこっちも、大した金を持っているわけではないのだから。とはいっても、あまくり美味くはないので、半分呑んで焼酎のロック、て、今パソコンで打ち間違えたら小宇宙のロック、でした。

つづく。

 

携帯を忘れていたので、帰ったついでに書く。また、出掛けるからね。

古本屋の日記 2011年8月31日