象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

祈り、あるいは虚無への供物。

無名の作者による、西欧の祭壇画風の、祈りの絵。

市場でこの顔の欠けた祈りを買ったのは、決してお金を儲けるためではありません。日々、古物の売り買いをしておりますと顔つきがだんだん荒んでまいりますので、時々、損得抜きでわけのわからぬものに手を出して、それで、まあ、商売としては負けてしまって、ちょっとしょんぼりしたほうがゴチゴチの古物屋顔にならずにすむような気がするからです。

 

お金も、祈りも、おんなじ虚無に捧げられております。

 

 

 

古本屋の日記 2016年5月12日