さて、先日買った阿部良雄訳のボードレール全集をぱらぱらとめくってみると鉛筆で線引きが…。割と高かったのでちょっと気持ちが凹みそうになりましたがまあ古本ですからと、古本屋の慣れた口調で自分を慰める。それにしても、線引きはメインディッシュ的な「悪の華」や「パリの憂愁」、あるいはブログに引用していちびるのに最適な「火箭」「赤裸の心」などではなく、ほぼ集中して美術評論の２冊に集中している。なるほど。真にボードレールを研究する人がこの全集を求めるのはこのためか、と妙に感心し、前の人の勉強の痕跡を消しゴムを持って追いかけているうちにわたしもここから読んでみようと思ったりするわけです。うん。線引きとの出会いにもやはりなんか意味があるかもしれない。やっぱり古本はよいなあと、古本屋は古本屋に語りかけてみるのです。
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