象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

巻物を広げる昼寝の夢。

一つの巻物の悪夢が終わったかと思ったらまた別の巻物の悪夢がはじまる。どんどんひろげていって果てしがない。凡庸で退屈で不吉な予感に満ちあふれた絵と言葉を、もう元の巻いた状態(閉じ込めた状態…)に戻すことができない。それほど……、こんなに遥か遠くまで、ひろげなくてもよいものをひろげてしまったんだねえと、荒れ地にのびる超長巻子の道を呆然としてふりかえる。
「どうすればよいのでしょうか?ひろげてしまって、もう元に戻す事ができません。」
「どうすることもできません。自分の人生をどうにもできないのと同じように。しかし、ひろげっぱなしの巻物をほっぽっといて、そこから立ち去る事はできます」

「それで?」

「それでこの巻物を見た事を忘れてしまう事です」

古本屋の日記 2015年6月18日