象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

大いなる沈黙へ。

久しぶりに映画。久しぶりに十三。フィリップ・グレーニング監督のドキュメンタリー「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」を観る。最も厳格と云われる修道院での、寡黙で質素で祈りに満ち満ちた生活が、ナレーションを一切入れずただ映像と数少ない修道士たちの声によって紡がれて行きます。所々(監督の)言語的表現への欲求を感じさせる映像のレトリックが見られ少し鼻をつく所もありますが、3時間近い上映の中で少しずつ見慣れたものとなってゆく修道院の回廊、祈りを取り囲むようにしてある山の景色や窓から差し込む光、夜の闇、礼拝堂、最も雄弁であるようにも思われる鐘の音、祈りの声、それら全てがだんだんと自分にもごく親しいものに思われて来て、上映終了後にはそこを(修道院を)立ち去るのがなんだか惜しいような気にさせられます。最も感動させられたのは、沈黙をしばし休んで、修道院の外へ、修道士たちがおしゃべりをしながら出かけて行く場面、雪のつもった山の斜面から、無邪気に小さなスキーや橇で滑り降り、深い山に修道士たちの笑い声が響く場面です。彼らは神の幼子のようであり、すでに、わたしには思いもおよばない深い恩寵の中にあるのだと思えました。おそらく、死でさへも、彼らはこのような無邪気な心で迎えることが出来るのではないかと思われ、

古本屋の日記 2014年8月31日