象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

色自慢江戸紫

●色自慢江戸紫ーー渓斎英泉:作 色摺半紙本三冊 天保七年 「淫斎白水樵夫画図」

「その名は自惚れ艶次兵とて、別号を淫乱斎月老先生とよばるる人、色事指南の道場をひらき」云々。

(絵入春画艶本目録よりーー7000円もしたんだからね、使うよ)

 

渓斎英泉 買取

 

淫斎は英泉、これは、あまり、かわいい言い回しではない。某Kライン文庫によく似たおっさんの指差すその先では、男女の密かなむつごと。やれやれーーこちらの本は国芳より状態が悪い。一丁、ちぎれて、どこかへ消えている。売り物としてはなかなか難しいかもですが、それでも面白いところもあります。

 

鳥瞰図

(男女色の道の全図)

色事世界の鳥瞰図、とでももうしましょうか、「いとしの杜」「げいしゃくるい」「迷いの辻」「心中の岩」などを抜けてゆきますと、左上の和合神に行き着きます。あ、それで思い出しましたが、象々が艶本に興味を持つきっかけになった本のこと。随分前の話ですが、先輩に連れて行ってもらった道具の市場で、云われるままに、まあ、付き合いで買った、裸の画の和本を、店でぱらぱら見ておりますと、例のS氏登場。見せてみろと言う。じっと見ながら、うーん、とか、あー、とか、時々、ワンワン、なんて吠えながら(ま、そういう癖なんですな)考え込んでいる、この画は、見たことあるけどなあ、なんやったかいなあ?と、さらにしばらく考え込んで、あきまへんな、段々記憶力が衰えてくる、と、と、こっちももどかしい、わい、Sさん、がんばってえなと、励ますこと数十分、本とにらめっこしながらぽかぽか頭を叩いて、思い出したのが和合の神さん、北斎の、万福和合神でした。ま、上巻のみですが、北斎、と聞いて、いままでつっきゃいで買わされてあほくさいなあと思っていたその本が、急に輝きだしたのはいうまでもありません。高い買い物と思ったのが、案外、安い買い物でした。うしし。儲けた。儲けた。それ以来、あまり勉強はしませんが、半端ものの艶本(状態がよく、三冊揃ってる本は半端なく高いんでねえ)、を見るとちょこちょこ手を出すようになりました。あるジャンルに興味を持つきっかけ=思わぬ儲け、というのは古本屋に、まま、ありがちな話。それでもそこから精進して極めれば、大したものなのですがね。象々は、まだまだでございます。儲けも、最初っきり、やし。

 

北斎→あほくさい、は、大阪の古本屋定番のギャグ。

古本屋の日記 2011年6月30日