象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

これは応挙ではありません。

わたしも応挙と書かれた掛け軸はいくつかあつかった事がありますが、不思議と、ちっとも高く売れた事はありません。お客さんに見せても、市場に出しても、まあ一応恥をかかないようにとなんちゃってな感じで笑って、値段が安てもぱっと手放します。内心、もしかしたらホンモンかもしれんなあとの思いもありますが、あかんモンとして売りに出し、あかんモンとして相手も買ってゆきます。なんちゃって笑いしながら。……。そもそもわたしもお客さんからあかんモンとして買っている訳ですから欲をかけた話ではないのですが、そこは気持ちの小さな男のこと、時折思い出し、今更ながらすごく損をしたような気になって夜眠れなくなる事があります。

丸山応挙

さてこちらの掛け軸。中国は唐の時代の郭子儀という軍人・政治家を題材にとったもののように思われますが、詳細は不明です。話の流れからすると応挙のものかと思われる方もおられるかと思いますが、これは、はっきりと違います。一応、応挙の文字は見られますが、後年わたしを悩ます事はなさそうです。

丸山応挙

天保六年?秋に求めに応じて応挙の図を模写したよと、親切にも書いてあります。お客様の前でくるくると広げてみて一瞬考え込みましたが「これは、応挙ではありません」と一言。お客様も「はい、応挙ではありません」と一言。なんの疑問も差し挟む事なくめでたしめでたしな掛け軸としてわたしの手に収まりました。正直ものの絵師の事を思いながら、あんまり儲からんか人やったんちゃうかと心配いたしております。

 

 

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古本屋の日記 2014年1月19日