象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

マーターズ。

午前中に天満で一件見積もり。ちょこっとはまやに顔を出す。そんで歯医者。ようやくちゃんとした奥歯が出来上がって参りましたが、まだ、仮の設置だとか。その後算段ごと少々、発送少々。なんとなく悪い精神状態を抱えながら、精神に悪そーな映画を観る。

 

苦痛と対峙し乗り越えその果てに見ることの出来る別世界の証人=殉教者=マーターを、変な秘密結社的な組織が生み出そうとするお話。前半はマーターの失敗作である女が幼い頃自分に苦痛を与えつづけた奴らを家族ごとショットガンで殺戮するも長い虐待によって見えるようになってしまった死んだ女の幻覚とそのまま血まみれの殺人現場でカッターナイフで皮膚を切り裂き合うなどあばれまくり血みどろの展開。そこに同じ施設で育った親友が助けに現れて……。うーん、とにかく、見ているだけで痛い、わけですが、苦痛とその超克が重要なテーマでありますから、まさに、そのテーマ性を存分に視覚的に見せてくれる素晴らしい映像表現ともいえます。そこから先は、まあ、前半ほど傷と叫びのシーンはありませんが視覚よりも精神的に観ているのが痛くなる映像が延々と続いてゆきます。途中もう一人出てくる殉教者の出来損ないの姿形は痛々すぎる中にもどことなくユーモアを感じさせる必見の見せ場です。……。そんなこんなで、いろいろ端折って話を進めますと、痛みと対峙し乗り越え別の世界(死後の世界とも語られる)が見えるようになる為の最終段階は、なんと全身の生皮を剥がし全身筋肉組織むき出しの状態でこの世に存在することで得られる苦痛の恍惚状態にあるようです。秘密結社のおばさんが最終解脱者の筋肉組織むき出し女(=幻覚女の親友)が恍惚として見た世界の話をひそひそ聞きますが、その話はわれわれには聞こえません。そんで、疑いなさい、という意味深な言葉を残して秘密結社のおばさんは拳銃を口にくわえぶっ放して死んでしまいます。

古本屋の日記 2013年5月14日