象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

道で越冬中のおっちゃんは語る。

ええ、そうなんでございます。だいたい、まだ、ひと言も、ほんとうに云うべき言葉を話していないのです。一生懸命、毎日、話してはいるのですが、よくよく、あとから考えてみますと、だいたい、なんでも、ちょっと真剣に話しているような事でも、まあ、たいがいはその場限りの思いつきみたいな、云ってみれば、まあ、社会的にと云いますか、この世的にとでもいいますか、極めて正しいかあるいはどうでもいいような非破壊的な言葉なんですが、ええ、なに、ほんとうに云うべき言葉ですか?それは、まあ、内容なんてどうでもいい訳なんですがーーなんかここに居ることの悲しみその深みに届く言葉ーーとでも云いますか、まあ、それの、宇宙規模の反響とでもいいますか、なんか、腐れバンドや腐れディーバの云いそうなことで恐縮な訳ですが、まあ、実際、そう云うの、嫌いじゃない訳でして、そう、宇宙的なんとか、そいつが一つあれば、誰もがみんな阿呆みたいな歌や阿呆みたいな演説で踊る必要がなくなる未来だとか豊かだとかも関係なくなただその言葉だけが鳴り響く漆黒の透明世界でなにかに触れるおお冷たいなあ、お前、おおほんとうに冷たい。

古本屋の日記 2012年12月22日