象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

あ、秋。

あ、秋。たしかそんな文章を昔どこかで読んだような気がする。朝、古本を段ボールに詰めて、チャリの後部座席に積む。空を見上げる。高く、青く、澄んでいる空を見上げると、案外簡単にわたしも澄んだ気持ちになる。昨日は熱病、今日は、変なものの気配もない。ーー。あ、秋。はて、この言葉をどこで憶えたのか、はっきり思い出せない。誰だろう。チャリを漕ぎだすーー透明なトンボのように、スイーッと、走り出す。

 

「マネク、ススキ。アノ裏ニハキット墓地ガアリマス。」

ーー太宰はん。

古本屋の日記 2012年10月2日