象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

小さな出来事、二つ。

近所の人からは、なにをやっているのかよくわからないけど挨拶だけはしっかりとする禿げかけの兄ちゃん、と、思われているに違いありません。しかし、誰彼なく挨拶するわたしにも、微妙に、どっちつかずな、挨拶するような、されるような、知らんぷりするような、新参者なので無視されているような、そんな、どうすればいいのか判断に迷う同年代くらいのお兄さんが斜め向かい住んでいて、いつも、もっとしっかりと挨拶したいのですが、なんだか、恥ずかしいのでーーもしかするとしらんぷりかも知れませんので、蚊が頷くような感じで、気持ち、したような、こっそり、しないような、そんな挨拶をしていたのですが、今日、いつものように組合へと段ボールに詰めた古本を運んで往復している時にばったり、正面から向かい合うような形になって、その、斜め向かいの同年代くらいのお兄さんの方から微かに、しかし明白に、わたしに向かって挨拶をされたので、わたしも、微かに、しかし明白に挨拶をして、なんだかちょっと嬉しいような気持ちになったのです。

 

黒田辰秋肉筆原稿「我谷盆賛」が売れる。お客様と電話で少し話す。市場の隅っこで見つけた、この素敵な一文を、「我谷盆」を自ら作っておられると云うお客様にお買い上げいただくことができて、商売抜きの、古本屋的満足を、久しぶりに味わう。

古本屋の日記 2012年9月20日