象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

うまい、やっぱりうまい。

やばいところでした。白い悪魔、しらふというモビーデックに飲み込まれる所でした。道具屋筋裏の立ち飲みで、なみなみと注がれた日本酒に震えながら口をつける。トクッと音がして、血中をアルコールが流れ出し、赤く滲んだ流れが全身に浸透してゆく。店の灯りがいつもよりも輝きを増して、真っ直ぐに見えるが実は歪んでいるもの全てが、ほんとうに正しいフォルムにきちっと収まる。人の話す声がはっきりと聞こえる。まんまんちゃんの暗がりからこちらを見ていた黒い影がわたしに向かって歩いて来て、少し臭いをかぐような動作をして肉体に同化する。再びお酒に口をつける。それで、表題の、言葉。佐川君が白人女性を食った時に発した言葉をわたしも小声でつぶやいてみる。

古本屋の日記 2012年7月14日