チャリで、段ボール函一杯の古本を積んで組合と店との間をぐるぐる何往復、しただろうか?いつも、近所の人からどのような目で見られているのか心配しながらも、運動とぼんやりとした考え事と仕事を兼ねたこのシーシュポスの往復運動を、やめるわけにはいきません。まったくもって合理的ではないのですが、わたしにはこのスローペースと重い本を人力で何度も運ぶ苦しみが、必要な気がするのです。ぐっと力を入れてペダルを漕ぐ。ローソンの角で向こうから同じように本をチャリで担いでくる彼岸の古本おやじとすれ違う。市バスどうしがすれ違う時に運転手がするような感じでおやじが軽く手を挙げるのでわたしもついつい二本の指を立てて挨拶を返す。最近ご無沙汰している立ち飲みの前で共田さんによく似たおばさんとすれ違いどきっとする。なるほど。やはり、こちらとあちらはそう遠くない距離で繋がっているのだと、一人で勝手に納得する。
寒い。